現在、日本の総理大臣を務める岸田文雄は、第100代の首相。何代も、また、一度やめても再度務めることもできるので、これまでに100人の総理大臣がいたということではなく、64人の総理大臣が生まれている。その中で、9人もの総理大臣を、ひとつの都道府県が生んでいることをご存知だろうか。
 先日亡くなった安倍晋三もその中のひとり。これまで最多の総理大臣が生まれたのが、山口県である(幕末における長州)。現在から遡っていくと、
・安倍晋三
・菅直人
・佐藤栄作
・岸信介
・田中義一
・寺内正毅
・桂太郎
・山県有朋
・伊藤博文
の9名である。
 山口県出身最初の総理大臣、伊藤博文は、ご存知の通り、日本の初代総理大臣でもある。安倍晋三は先日凶弾に倒れたが、山口県出身の総理大臣の中で、安倍晋三の前に銃殺されたのも、伊藤博文である。
 最期は非業の死を遂げた伊藤博文だが、彼の人生はその最初から数奇なものだった。幕末の長州に生まれた伊藤は、もともとは武士階級ではなく、高杉晋作や桂小五郎(のちの木戸孝允)ら多くの人に取り立てられながら長州藩で出世していき、明治政府でも要職を歴任、日本初の総理大臣にまで上り詰めた。
 彼の幕末青春時代を描いたマンガ『ヒノマルライズ~伊藤博文立志伝~』が発売された。この作品では、イギリス公使館焼き討ちに参加するなどゴリゴリの攘夷派だった伊藤が、どのように自らの立場を変え、藩内で力をつけていったかが描かれている。のちに明治天皇から「少しは女遊びを控えてはどうか」と注意された伊藤博文の女性関係も登場し、とっつきにくい歴史漫画とは一線を画すコメディ作品になっている。
 これまで幕末作品では主人公になることのなかった伊藤博文の、意外な素顔をこの作品で目にしてほしい。